ドッグウォーカー博士のスローライフ

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犬の認知症の症状と治療(研究紹介)

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風が強くて日差しは少なくとても寒い朝、はっちゃん(秋田MIX♂9歳)は流木齧りに余念がなかった。

くわえたまま散歩に出かけ、お気に入りの草の上でゆっくりガジガジ。

しばらく齧ったのち流木を置いたまま散歩し、帰りにピックアップしてまたしばらくガジガジ。

待っている間に凍えそうになった。

 

「今日もたっぷり齧るよ~」。

 

本人はいたって満足の様子で、ゴロンゴロンしてニコニコしていた。

よかったね、はっちゃん。

ところで、いま実家では母が骨折入院中なので、留守番中の父と毎日のように電話で話している。

父はアルツハイマーの診断を受けており、あと2か月で90歳になるが、物忘れと寝起きの見当識障害がある程度で、今のところ何とか生活できているし話も通じている。

わたしから見れば年齢の割にはしっかりしていると思うのだが、本人はさっき置いたはずの物がどこにあるかわからないとか、寝起きに夢か現実かわからなくなるとかいうことがとても不安だと繰り返し訴えている。

人間の場合はさまざまな不安をかかえるが、犬や猫の場合はどうなんだろうと想像する。

うちではキキさん(サビネコ♀享年22歳)が超高齢だったが、とくに認知症らしき様子は見られなかったし、不安そうでもなかった。

マルちゃん(大型犬MIX♂享年13歳)は、若い頃のような強いセルフコントロールが少し聞きにくくなったかなと感じたぐらいで、ほとんど変わらなかった。

だが、認知症(認知機能障害症候群ーCDS)を患う犬や猫もいる。

オハイオ州立大学獣医学部のサイト Cognitive Dysfunction Syndrome -CDS, Ohio State University がわかりやすかったので、これを中心に犬の認知症について紹介したい。

認知症になる犬はどのぐらいいるのか

カリフォルニア大学デービス校の動物行動クリニックによる研究では、11〜12歳の犬の28%と15〜16歳の犬の68%が1つ以上の認知機能障害の兆候を示したことが明らかになった。

ちなみに猫については、11〜14歳の猫の28%が認知機能障害の兆候を少なくとも1つ発症し、これは15歳以上の猫では50%以上に増加したということが示唆された(Cognitive Dysfunction Syndrome -CDS, Ohio State University)。

日本では日本犬での発症が約80%を占めているという研究があるようで(こちら参照)、ちょっと気になっている。

病気のプロセス

興味深いのは人間の認知症との相違だ。

9歳前後の患犬では、脳の前部にびまん性のアミロイド斑(アミロイドβの蓄積)が見られる。これは記憶や学習の問題を伴う。また、排泄を自発的にコントロールする能力にも影響があり、排泄障害につながることもある。時間の経過とともに、プラークは他の脳構造にも広がり、空間認識能力の低下、徘徊、視力・聴力の低下などの問題を引き起こすことがある。また、酵素分解やフリーラジカルの増加により、神経伝達物質が減少し、脳内信号の減少や細胞の損傷につながることもある。神経原線維の絡まりは、犬・猫の脳ではヒトのように確認されていない(同上)。

記憶、学習、排泄に問題が生じ、時とともに空間認識能力や視力・聴力が低下していくというのは人間と同じだ。

認知症の診断

セルフチェック方法もあるが、同サイトでは獣医によるDISHAという行動チェックリストによる診断法を掲載している。

自分でもチェックできるので、変化を感じた時にやってみるといいだろう。

もし1つ以上該当した場合は、速やかに獣医師の診断を受けよう。

  • Disorientation(方向感覚の喪失)
    空間認識の変化、慣れ親しんだ障害物の周囲を移動する能力の喪失、徘徊行動。
  • Interaction changes(交流の変化)
    社会的交流、撫でる、挨拶、依存的または「くっつく」行動への関心が低下する。
  • Sleep/Wake cycle changes(睡眠/覚醒周期の変化)
    夜間に落ち着きがない、または頻繁に目が覚める、日中の睡眠時間が長くなる。
  • Housesoiling(排泄の変化)
    外出するタイミングを飼い主に知らせなくなる、室内で排泄する、失禁する。
  • Activity level changes(活動レベルの変化)
    家の周りの物、人、音に対する探索や反応の減少、グルーミングの減少、食欲の減少、落ち着きのなさ、興奮、および/または分離困難などの不安の増加。

治療方法はあるのか?

人間の場合と同様に、犬の認知機能障害にも治療法がない。

治すことができないという意味である。

なので病状は少しずつ進行していくが、その進行を遅らせることはできる。

このサイトでは、環境エンリッチメント、食生活の改善、サプリメント、精神作用薬の使用があげられていた。

また運動や新しいおもちゃ、新しい課題の学習が、学習と記憶を向上させることも指摘されている。

このあたりも人間と同じだ。

こちらのサイトでは、抗酸化物質とオメガ3脂肪酸を含む食事や、中鎖トリグリセリド(MCT)、抗酸化剤、必須脂肪酸、ビタミン、アミノ酸を含むサプリメントの有効性が検証されていると述べられている。

薬については日本で犬に使用できるものが非常に限られているようだ。

アメリカとイギリスではパーキンソン病の治療薬であるセレギリンが認可されているが、覚せい剤を原料とするため日本では扱いが難しいので、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸サプリの投与が主体であるという(こちらの論文参照)。

この研究グループが人間のアルツハイマー治療薬のアリセプトを投与したところ、スコアが改善したそうだ。

アリセプトに関しては、人間では進行を遅らせる効果があるという意見と、大してないのではないかという意見がある。

わたしの父も飲んでおり、飲み始めて2年以上たっても進行していないが(3か月ごとにチェックしている)、アリセプトの効果かどうかはわからない。

犬の場合、専門的な治療ができる病院は限られていると思われるので、早めにかかりつけ医に相談して高度医療を提供している病院につなげてもらうのがいいだろう。

犬の認知症に関しては日本語の文献では鳥取大学のこの論文がわかりやすいので、興味がある方はどうぞ。

https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2021/04/topics.vol_.108.pdf

人間の場合と同様、認知症は症状が現われる前から静かに進行しているので、抗酸化物質とオメガ3の積極的な摂取のように、簡単に実践できることはやっておきたい。

うちは、わたしもはっちゃんも(亡くなったマルちゃんも)そうしている。

そして認知症になってしまっても、今までと変わらずに愛情を持って接したい。

これまでと全く違った別人格になるわけではなく、脳の機能の一部の働きが悪くなっているだけなのだ。

父と接していてそう思う。

きっと犬も体の変化に戸惑っているだろうから、その不安を軽減して安心して過ごせるようにしてあげたい。

 

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