ドッグウォーカー博士のスローライフ

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放っておくと悪化する!資源を守る行動への対処法

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*コメントを受けて文末に加筆しました(8/29)。

今朝は湿度も気温も少し下がり、タンクトップで散歩に出たらちょっとひんやり感じた。

これならはっちゃん(秋田MIX♂9歳)もたくさん歩くだろうと思ったが、ネコ餌ポイントに行ってブラブラしただけで引き返した。

ネコさんたちに会えなくてちょっとがっかりしたのもあるかもしれない。

「しょうがないね」という感じでブラブラ歩き、家に続く坂の入り口のところまで来た時に、いつもは無人の別荘に車が停まっていて、その陰から犬のピーピー鳴きが聞こえた。

はっちゃんが立ち止まって観察を始めたのでわたしも見ていると、お父さんがドライフードを犬にあげる準備をしているのが見えた。

以前にも一度その犬が来ているのを見たことがあるが、吠えてこないのではっちゃんがよく立ち止まって眺めていた。

そして今朝もお食事風景をずっと観察していた。

ネコ観察はできなかったが犬観察ができたので満足したようだ。

 

「たっぷり草を食べるよ」

 

さて今日は、読者さんからご質問があった、資源を守る行動への対処法について書いてみたい。

質問者さんのわんこさんは、空の餌皿、給水器、吐いたもの、ハーネスなどを守る行動があり、触ろうとすると唸ったり噛んだりするという。

こういう行動を「資源を守る行動」という。

では、以下に解説していこう。

資源を守る行動とは

まずはその定義から。

資源を守る行動とは、犬が所有している大事な物や場所(資源)への脅威を感じた時に、それを取られまいとして起こす行動のことで、所有性攻撃行動ともいわれる。

 

その対象は犬が自分にとって価値があるとみなしているあらゆるものでありうる。

代表的なものは以下の通り。

食べ物とおやつ
餌皿
骨やガム
おもちゃ
場所(犬ベッド、クレート、人間ベッド、ソファなど)
人間
吐しゃ物や排泄物
仕留めた獲物
その他なんでも

 

その行動には次のようなものがある。

身構える
凝視する
フリーズする
別の場所に持っていこうとする
軽く頭を振る

唸る
突進する
噛むそぶりをする

歯を当てる
噛みつく

 

資源を守る行動自体は動物が生き残るために必要なものであり、人間も含む動物の習性ともいえる。

なので、完全になくせるものではないし、またそうすべきでもない。

問題は、犬が大事なものを取られるかもしれないと不安になったり、恐怖を感じたりして攻撃行動を行うことだ。

繰り返し書いているように、不安や恐怖は攻撃行動の主要原因である。

不安や恐怖は犬の生活の質を下げるので放置すべきではないし、繰り返すことで定着しまた悪化していくので、早急に対処することが必要だ。

だが、やめさせようとしてかえって悪化させることがよくあるので注意したい。

やってはいけないこと

ときどき、守る行動は犬がボスになっているからだとか、支配的だからだなどと言われるのを見ることがあるが、これは現在の行動学では否定されている。

人間がリーダーにならないといけないなどと考えて叱ったり罰を与えたりするのは、もっともやってはいけないことだ。

それも含めこんなことはやめよう。

叱ったり罰を与えたりする。
犬の物を触ろうとしたり、取ろうとしたりする。
守っている状態のときに犬の方に向かって歩く。

 

これらは犬を不安にする行為であり、それによってますます守る行動が強化される。

やるべき行動

では、どうしたらいいだろうか。

PONOPONOでは犬のストレスの原因を減らすことがすべての前提になっているので、ストレスマネジメントを徹底するというのは欠かせない。

その上でということになるが、犬を不安にさせることが攻撃行動を誘発するので、そうさせなければいいということだ。

そのためには次の2つが重要になる。

犬が守りたくなる状況を作らないこと。
犬が守りに入った最初の段階で気づき撤退すること。

 

犬が守りたくなる状況というのは、犬の大事なもののそばに人間がいるということである。

なので、餌皿やおもちゃなどのそばに犬がいるときにはそこに近づかないこと、もちろん絶対に触ったりしないことを徹底する。

家族で暮らしている方は、家族のメンバー全員にそれを守ってもらうことが必要になる。

とくに食事の時には、犬が安心して食べられる場所を確保することが大切だ。

犬のセーフスペースとして、人の動きが少なくて犬が気に入っている場所にゲートを設置するのもいい。

犬を完全に閉じ込めてしまうと今度はそこを守ろうとするし、閉じ込められることがストレスになって攻撃行動が悪化するので、ドア付きクレートや出口のないサークルはやめよう。

その代わりに、犬が出入りできる隙間をあけてゲートを設置し、犬がそこにいるときには人間は近寄らないようにしよう。

これだと不用意なニアミスは避けられるし、子どもにも説明しやすい。

 

それから、犬が守っているもので取り換えが可能なもの(食器など)は、そのまま使い続けずに別のものに変えよう。

薄いプラまな板のようなものに乗せてごはんをあげると守りにくいかもしれない。

相談者さんの給水器だったら、サークル設置式の物は飲みにくくて犬には適していないため、なくしてまったほうがいい。

サークルやケージを設置するのではなく、犬にとって快適で気に入っている静かな場所に、いつでも自由に出入りできるスペースを作り、その前にゲートを置いてみよう。

ゲートに布を垂らして目隠しにすると安心するかもしれない(犬によるので犬に聞く)。

吐いたものは犬が車から降りるまで触らなければいい。

だが、気を付けていてもうっかり近づきすぎてしまうことはある。

そんなときには、守る行動の最初の段階が始まったとき、すなわち凝視やフリーズのところで気づいて、すぐに距離を取るようにしよう。

そうすればそのあとの展開は避けられる。

わたしがうちで預かった犬たちの中にも、資源を守るための攻撃行動が定着した犬が複数いたが、距離を取っているうちにだんだん反応が薄くなっていった。

そういえば、そういう犬たちはハーネスを外すときに嫌がることが多かったが、これについてはハーネスの着脱というテーマで別にまた取り上げたい。

犬を不安や恐怖の中に置き去りにせずに、犬が安心して暮らせるように人間が環境と接し方を変えることが大切だ。

*コメントを受けて以下に加筆。

コメント欄で実践者さんが体験談を寄せてくださっているので、ぜひご覧いただきたい。
犬が安心して暮らせるように、脅威となるもの・ことをなくしていくのは、ストレスマネジメントの重要な柱でもある。
それによって犬は人間のことを信頼してくれるようになる。
資源を守る行動への対処法としては、一般的に拮抗条件付けと脱感作(人間の存在と食べ物を同時に提示することによりいい関連付けをしながら刺激への反応を減らしていく)が提唱されている。
PONOPONOでも最初期にこの方式も併用していたが、食べ物で興奮する犬が非常に多いことからやめた。
それでも、この記事で書いたやり方によって、資源を守る行動は確実に大幅に改善するということを強調しておきたい。

 

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