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体のどこを触られても嫌がらないようにする必要がある?

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大雨になるという予報の通り、一日中雨がよく降っていた。

あす未明には雨が上がるようなので、ようやく待ちに待った散歩に行けそうだ。

この間ずっと寝て過ごしていたはっちゃん(秋田MIX♂10歳)は、どんなにうれしいだろうと思う。

 

「ずーっと寝てたよ」。

 

ごはんとトイレ以外には起きないが、元気がないというわけではなく、ときどき甘えに来る。

そんなときには横に座ってゆっくりお腹を撫でてあげる。

はっちゃんはお腹を撫でてもらうのが大好きなのだ。

そういう犬(やその他の動物)はけっこういるが、お腹は動物の弱点なので知らない相手や信用できない相手には触らせないものだ。

なのでお腹を撫でてと言ってもらえるのは名誉なことだと思っている。

他方で好きな相手であってもむやみに触られたくない部位もある。

尻尾の先や足先、口元などだ。

犬によっても違いはあるし、嫌な程度もそれぞれで、さらには我慢できる程度も違う。

大事なのは犬の気持ちを尊重することだ。

犬のしつけ本やサイトには、「体のどこを触られても嫌がらないように慣らしましょう」などと書いてある。

そのためには、苦手な部位にタッチして、「いい子」などの褒めことばを言って、それと同時にご褒美をあげるというトレーニングをしましょう、などという。

これはきわめて一般的なトレーニングで、陽性強化法とか正の強化(元の言葉はpositive reinforcement)と呼ばれている。

従来の罰を使った(体罰も含む)トレーニングと違って、好ましい行動にご褒美を出して強化していくのだから犬にやさしいという触れ込みで、現在ではこれが主流のやり方と言える。

だがそもそもなぜ犬は、「体のどこを触られても嫌がらない」ようにならないといけないのか。

もし自分が「体のどこを触られても嫌がらない」ようなトレーニングをされたらどう思うのか聞いてみたい。

わたしは端的に、それは暴力だと思う。

わたし自身は体を触られるのが大の苦手なので、たとえすばらしいご褒美が出たとしても、こんなトレーニングをされたら間違いなくストレス行動がたくさん出るだろう。

自分の体は自分のものであり、他者が勝手に触ってはいけないというのは、人権(人間の権利)の構成要素のひとつだ。

もし犬にはその権利を認めなくていいというのであれば、それは種差別である。

犬の中には体を触られることに頑張って耐える犬もいるが、わたしのような犬もいるだろう。

うちではマルちゃん(大型犬♂2021年没)が嫌なのにすごく我慢するタイプで、はっちゃんはそれほど嫌ではないが我慢はしないタイプだ。

わたしは嫌で我慢しない(できない)タイプである。

現代の家庭犬たちは様々な違いにかかわらず、こんなトレーニング(という名の権利侵害)をされるリスクがある世界に生きているといえる。

特定の「飼い主」を持たない自由行動犬(ビレッジドッグ)は、家庭犬に比べてストレスレベルが低いという調査結果が出ていたが、まさにそうだろうとしか思えない。

体を触るトレーニングは、病気やけがなどで診察するときに体を触る必要があるので、そのためにあらかじめ慣らしておく必要があるのだということがよく言われる。

だが、犬の意思を尊重して犬が嫌がることをしなければ、いざと言う時には協力してくれるものだ。

わたしは自分が犬たちと暮らす中でそう思ったのだが、ストリート犬の治療の様子を見てはっきりと確信するに至った。

インドのストリート犬保護団体、アニマルエイド・インディア・アンリミティッドがユーチューブに週1でアップしているレスキュー動画を見ると、今までトレーニングしたことがないどころか、人と暮らしたことがない犬たちがケガをして、おとなしく治療を受けるシーンが毎回流れている。

犬だけでなく牛やロバなども同様でみんな非常に協力的である。

ただしこの団体は接し方に非常に特徴があって、みんな静かにゆったりと、無理強いせずに穏やかに接し、治療の時には複数の人がずっと撫でて励ましているのである。

犬をトレーニングして慣らすのではなく、人間の方が犬を嫌がらせないやり方、犬を安心させるやり方を習得するほうがずっとうまくいくし、犬の権利を侵害せずに済むではないか。

治療については、どうしても苦痛が大きく受け入れがたいことに関しては、人間のときと同じく麻酔を使えばいい。

「犬をしつける」ということがあまりに一般化しているが、だからこそその行為が正しいことなのか、他のやり方はないのかを常に考えてみるといいと思う。

 

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