ドッグウォーカー博士のスローライフ

命令をやめて犬と仲間になろう!しつけをしない犬育て、問題行動への対処法、文献紹介など

子ネコちゃん預かり記 犬の気持ち

信頼関係は病院でも役立つ

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昨夜、会葬礼状を作成していると、庭からガタガタいう音が聞こえた。

野生動物にしては家に接近しすぎだと思っていると、膝にいたイナちゃん(白黒猫♂8か月)がさっと降りて窓辺に走った。

そしてカーテンの向こう側に入り、何やらごそごそし始めた。

なかなか出てこないので作業を中断してカーテンを開けてみると、こんな訪問者が。

 

「こんばんは~、イナちゃんしばらくいなかったね」

 

前からときどき来ていたマンチカン風の猫さんだ。

イナちゃんが帰ってきたので会いに来たようで、イナちゃんも怒ったりせずにずっと見合っている。

イナちゃんは猫に友好的で、シェルターでも興味津々だったという。

マンチカン風の子はわたしと目が合っても逃げず、まばたき挨拶を何度もしてくれた。

しばらくお付き合いして作業に戻ったが、なかなか立ち去ろうとしない。

 

 

それどころか、などをカリカリして「入れてー」と言う。

だがイナちゃんは伝染性の猫白血病ウィルスを持っているので入れてあげられない。

そこでよく説明して「ごめんね」と謝ったら、ようやく去っていった。

そのあとしばらくして雨が降り出したので、うちに入りたかったのだろう。

この子はたぶん隣の猫さんで、キャットドアで自由に出入りできるようになっている。

なので、ひょっとすると先住黒猫さんと相性が悪いのかもしれない。

真相を確かめたいのでさっき隣の家に行ってみたが、お兄さんは留守のようだった。

また夜にでも行ってみよう。

そして今日は、イナちゃんの通院日だ。

早起きして雨の中、高速道路を慎重に運転しながら病院に向かったが、雨のせいで交通渋滞がひどく、いつもより長く1時間半もかかった。

 

 

開院時刻に着いたが、すでに先客がいたので少しの間待合室で待たないといけない。

小さな声で鳴くので、キャリーに手を入れて撫でてあげると静かになった。

イナちゃんはよく水を飲むので腎臓が悪くないか血液検査をしてもらい、そのついでにウィルス検査もすることにした。

それによくくしゃみをして、今朝も寝ているわたしの顔に青洟をべったり飛ばしてくれたので、猫風邪治療のための抗生剤注射もした方がいいという。

採血と注射2本なので、なかなか負担が大きい。

採血は看護師さん2名に保定してもらったが、嫌がっていたので看護師さんの手を噛まないようにわたしが額をナデナデしていた。

採血が終わるとわたしが保定してインターフェロンと抗生剤の注射だ。

イナちゃんは診察台の上でわたしに体に押し付けてきていたので、そのまましっかり押さえているとうまくいった。

採血の結果が出るまで待合室で待っていたが、その間も撫でているとおとなしくしていた。

血液検査の結果は良好で、栄養状態もよく健康だった。

 

 

クレアチニンが低いのは幼猫ではよくあることで問題ない(高かったら問題)。

白血球の値が高いのは、猫風邪の影響ではないかということだった。

体重は2.5kgに増えて、順調に成長している。

そして気になっていた猫白血病ウィルス(FeLV)は、残念ながら陽性だった。

 

 

それでも線が薄くなっているので、ウィルス量が減ってきている。

このままさらに減って、完全にいなくなりませんかと聞いたら、それはわからないと言われた。

あと4回注射を打って、その2か月後にまた検査する。

少なくともその間はうちにいてもらうので、まだ一緒に暮らせる。

イナちゃんもわたしも緊張で疲れて帰宅すると、シェルター代表さんから連絡があった。

 

「疲れたからベッドでお休みするね~」

 

イナちゃんと同じくらの月齢の猫さんが車にひき逃げされて、骨盤骨折したという。

近所の病院では手術できないので、ちょっと遠いイナちゃんの病院で明日手術するそうだ。

10日後に退院するが、しばらくはケージレストなので、その間うちで預かることになるかもしれない。

その場合は、骨折猫さんに白血病ワクチンを打ってもらい、イナちゃんのくしゃみの飛沫がかからないようにするなどの対策が必要だ。

同じ病院なので、近くなったら主治医に気を付けるべきことを聞いておく。

東京から帰ってくる早々になにかと忙しいが、うちにいるだけで元気がどんどんチャージされていく。

今日思ったのは、犬猫たちとの暮らしでは、信頼関係の構築(=仲間として信頼してもらうこと)がもっとも重要だということだ。

痛くてつらい治療でも、わたしが優しく声をかけながら体を触ったり押さえたりなどすると、イナちゃんはおとなしくしてくれる。

他の人が保定するよりも、暴れたり噛み付いたりが減るのだ。

それにわたしだったら反射的に噛もうとしない。

わたしの介入で少し安心してくれていることがはっきり見て取れた。

うちの犬猫たちはみんなこの方式なので、動物病院ではよほどひどい獣医に当たらない限りは困らない。

よくない場合はわたしもダメージを受けるので、すぐに転院する。

ドッグトレーニング業界では、「ハズバンダリートレーニング」といって、ご褒美におやつをあげながら様々な受診動作をするように教えていくことが推奨されている。

だがトレーニングをしないPONOPONOでも、まったく困らないのは、そばにいるだけで安心してくれるような関係を築くからなのだ。

その方がずっと楽だし、動物への負担も少なく、ほかのさまざまなシーンでも役に立つ。

一時預かり中の動物でも、また動物種が違ってもできるので汎用性が高い。

ポイントは無理強いせずに、動物たちの気持ちに寄り添って、最大限のリスペクトをもって接することだ。

それでも治療を嫌がることはある。

そうしたらすぐにやめて、嫌がらない方法を工夫すれば、何かしらよりマシな方法が見つかる。

これを実行していると、動物たちからの信頼度がさらに上がるので、次回以降がより楽になる。

不安や恐怖に対しては、いかに安心してもらうかという観点から対処することが大切で、身近な人間がその役目を果たすのが一番だとわたしは考えている。

 

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