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早朝はまだ雨が降っていなかったが、天気は確実に下り坂だった。
なんとか散歩に行けるかと思ったが、はっちゃん(秋田MIX♂9歳)は「行かないよ」と言う。
風が強くて不穏な天気だったのでそれがよさそうだ。
わたしは気象病でお腹も頭も痛かったので、気を遣ってくれたのかもしれない。
はっちゃんの判断はいつも適切だ。
雨の日の定番。
ところで、犬育てを始めた方からいろんなお悩み相談を受ける。
とくに初めてだとわからないことがたくさんあって不安だろう。
「しつけ本」に書いてある通りにしてみたがうまくいかないという話もよく聞く。
わたしは子どもの頃に犬と暮らしていたが、そのあと成人してから迎えたのはネコだった。
30年近く前のことになる。
ネコの育て方の本を買って読んだのだが、今思い返しても妥当なことが書いてあったと記憶している。
ネコの行動を変えようとするのではなく、ネコの意思を尊重して、人間側が必要な対処をすべきという論調だったからだろう。
ところが犬の場合は、人間がリーダーになるべきという前提で、しつけやトレーニングによって犬の行動を変えようとするものがいまだに多い。
ネコ式だったらうまくいくのにといつも思っている。
犬のお悩みアンケートを見ていたら、犬(おそらく子犬)がカーテンをおもちゃにして破ったり、カーテンレールを壊したりして途方に暮れたという話が載っていた。
わたしは子犬がそうやって遊ぶ姿を想像するだけでニンマリしてしまうし、いつまでもその姿を見ていたいなどと思ってしまう(はっちゃんはやらなかった)。
子猫はよくカーテンによじ登り、さらにはカーテンレールの上を器用に歩いたりして、それもまたかわいい。
ネコについてはあきらめる人が多そうだが、犬の場合は「しつけをしないと」と思うのかもしれない。
だがそういう楽しい遊びは叱ったところでやめないだろう。
それに室内での興奮を伴う「いたずら」(人間からはそう見える)は、五感への刺激不足と表裏をなす過度の興奮、それによるストレスが原因であることが非常に多い。
様々な刺激に満ちた質の高い散歩をしていると、子犬でも室内ではほとんど静かに寝て過ごすようになる。
超絶やんちゃだったはっちゃんがほとんど「いたずら」をしなかったのはそのためだ。
散歩の充実とともに、犬の口の届くところにいたずらされて困るものを置かなければ問題は起こらないだろう。
高いところにも上ってしまうネコよりもずっと簡単だ。
カーテンの裾を犬が届かないところまで上げてしまうとか、カーテンを閉めてその手前をプラダンなどでブロックするとか、いろいろ工夫のしようはある。
犬の行動を変えようという発想をやめれば、さまざまな工夫が浮かんでくるだろう。
そうすればいつまでも悩み続けることはなくなる。
困ったことは工夫で乗り切って、犬にはゆるく(寛大に)接していれば、たいていのことはうまくいくのではないだろうか。
「しつけ」に頭を悩ませるよりも、犬を観察して犬のことをよく理解するように努め、犬と仲間になることにエネルギーを使いたいものだ。
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