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強風と雨雲が去って太陽が顔を出し、はっちゃん(秋田MIX♂9歳)が元気いっぱいで起きてきた。
食欲もすっかり戻っていつも通りだ。
やっぱり台風の影響だったのかもしれない。
風はまだ強かったが勝ちかねたように散歩に出かけた。
少し歩いていると風のせいで気温の低さが体にしみてきた。
わたしは薄着だったので震えながら歩いたが、はっちゃんには快適で暑い日のようにハァハァすることもない。
チェックポイントをすべて周って最近見つけた別荘エリアにも足を延ばし、ぶらぶらとロング散歩を楽しんだ。
「ここ、だれかが来たね」と入念に匂いをチェック。
「涼しかったからたっぷり歩いたよ!」
はっちゃんが元気で散歩を楽しんでくれるのが一番だ。
漁港のそばを歩いていると、ずっと前の方を柴犬さんとお父さんのペアが歩いていた。
遠かった上にわたしたちから離れる方向に行っていたので、はっちゃんもわたしもちらっと見ただけで自分たちの散歩に集中していた。
はっちゃんは柴犬さんのマーキング跡をゆっくりたどりながら、いちいちよく匂いを嗅いだ。
マーキングの上書きをするかなと思ったのだが、しないでただ嗅ぐだけだった。
柴犬さん宅の前のマーキング跡には上書きしていくのに、ここにはしなかったのが興味深い。
わたしたちは犬が行儀良くふるまうことにばかり関心を向けがちだ。
せっかく散歩に出ても、吠えたり拾い食いしたりせずにまっすぐさっさと歩くことを目指してしまう。
そんなことよりも、犬の行動をよく観察してみよう。
ある行動をどういう状況の時にやり始め、いつやめているか、状況と行動がどのように関連しているか、どんなボディランゲージを出しているか、そこからどういう感情が読み取れるかなどを考えてみよう。
それが犬を理解することにつながるのである。
すると、どうしたら犬をサポートすることができるかもわかってくる。
犬がよくない行動(と自分が思っている行動)をするので、それをやめさせるためにどうしたらいいかという発想にとどまっていると、犬を理解することからどんどん遠ざかっていく。
特定の行動を強化してそれができたらよし、ということになりやすいからだ。
犬のことなんて考えてもわからないよと思うかもしれないが、日常的によく観察することで様々なことに気づき、理解が深まっていくものだ。
その時わからなくてもデータを積み上げていくと、ある時「あ、こういう意味だったか」と気づくこともある。
わたしは今、はっちゃんのマーキングの観察をしているが、それによってどういうコミュニケーションを行っているかをあれこれ推測している。
行動観察は散歩の楽しみの大きな部分を占めている。
大好きな仲間のことをもっとよく知りたいと思うのは当然で、それが異種の生き物だったらなおさらだ。
わたしたちは人間なので自然に人間中心の見方をしてしまっているが、意識して犬のことをよく理解するように努めたい。
それ自体が楽しいことでもあるし、犬の気持ちや要求などがわかるようになって、もっと犬に信頼してもらえるようになるだろう。
ぜひ詳細な行動観察を行ってみよう。
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