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明日の夜出発なので荷物の最終確認をしたのだが、どうもリュックが大きすぎる。
そこで現地で使おうと思っていたサブリュックに詰めなおしてみると、それでもなお上の方がスカスカだった。
もはや近所に買い物に行く程度の装備だ。
いつも荷物が少ないので税関で怪しまれているが、今回もその可能性ありかもしれない。
だが長期滞在ならなおさら、消耗品は現地調達に限るので重い荷物をわざわざ持っていく気がしない。
出発が迫ってきて落ち着かないので、リラクゼーションのためスロージョギングに行った。
風があったが空気が澄んでいて海が美しい。
どんどん秋らしくなってきている。
わたしには今ぐらいの気候が限度で、これ以上寒くなるのは勘弁してほしいところだ。
さてネットニュースを見ていたら、犬はリーダーを筆頭とする群れを作り、その中で縄張り争いや順位をめぐって争うものだというような発言が紹介されていて驚いた。
今時まだそんなことを言う人がいるのかと。
わたしがブログを書き始めた15年ほど前にはこうした考えが主流だったが、すでに西暦2000年前後からそれを否定する研究が出始めていたので、当初から何度もブログで取り上げていた。
そしてようやく最近になって、日本語検索でも犬には支配関係は明確な序列はないと説明しているサイトが多数を占めるようになってきた。
人と一緒に暮らしている家庭犬については、犬は自分がリーダーになろうとしてその地位を狙うものだから、人間がリーダーであることをわからせないといけないというような言説はかなり減ったと言える。
それでもまだ見かけるので、知識のアップデートをしてほしいと願っている。
家庭犬以外のfree-ranging dog（自由に行動している犬）の研究も少しずつ増えており、インドの村や町で人間のそばで暮らすストリート犬について興味深い論文が複数あったのでまた紹介したい。
５年ほど前にローマ郊外に住む野犬化した犬に関する研究が発表されたが、そこでは直線的な上下関係の存在が報告されている。
以前にこのブログでも取り上げたことがあったが、今日ふとまた読んでみると、階層的な秩序はあるものの年功序列なので争いは起こらず、上位の犬が絶対的な権力を持っているわけでもないということが指摘されていた。
これはローマ郊外で人との交流が少ないところで暮らす犬についての研究であり、インドなどのストリート犬とはまた違う特徴を持っている。
いずれにしても、順位争いというのはこの犬たちにも当てはまらない。
家庭犬については、エディンバラ大学獣医学部のこのページが非常にわかりやすく的確なのでリンクしておく。
Understanding canine social structure （犬の社会構造を理解する）
一部翻訳紹介しておこう。
多くの動物の社会集団とは異なり、犬には支配階層や線形階層（集団内の各動物がそれより下のものに対して支配的で、それより上のものに対して従順である明確な順位を持つ社会構造）がないことを知っておくことが重要である。
「アルファ」もしくは「トップドッグ」は存在せず、常に覇権を争っているわけでもなく、攻撃や支配によってリーダーを倒そうとしているわけでもない。
上下の序列はなく、ボスに相当するような犬もいないので、順位争いなども起こらないということだ。
それに続けて路上など人間の周辺で暮らす犬について説明しているところが興味深い。
以下にざっと要約してみよう。
通常は母親と子犬という小さな家族単位で生活しており、子犬が1歳を過ぎるまで一緒にいることが多い。
メスは出産した直後に攻撃的になることがあるがそれ以外はまれである。
喧嘩などの争いごとが起こるとすれば、脅威から自分自身もしくは子犬を守るためか、自分にとって重要な資源を守るためである。
ほとんどの犬は他の犬との交流を楽しみ、若い犬はとくに追いかけっこや引っ張りっこなどの遊びを好む。
また信頼できる人間とも喜んで遊ぶ。
自由行動犬は通常一緒に食べ物を探すことはなく、人間の残り物や捨てられたものなどを食べる。
この説明はわたしが実際に見てきたこととも一致している。
犬の社会構造に関して、こういう全体像を頭に入れてくことが重要だ。
昨日も書いたように、家庭犬はもちろんいわゆる野犬のような自由行動犬をむやみに怖れ、ひいては迫害したりしないために、知識のアップデートをしておきたい。
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