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不妊去勢手術は必要?時期は?新研究も紹介

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昨日は瀕死の子イノシシさんに遭遇してひどく動揺していたはっちゃん(秋田MIX♂9歳)だが、今朝は回復して落ち着いて散歩に出かけた。

コースもいつも通りで、漁港の周辺の路地をくまなく歩いた。

外ネコさんたちには会えなかったが、餌場のドアの隙間からのぞいている隙間ネコさんとは鼻を付けて挨拶できたので満足した様子だ。

わたしたちが餌場の前にいると、気配を聞きつけて「ニャーン」と呼び掛けてくる。

はっちゃんは挨拶はするが、どちらかと言えば塀の上にいるネコさんを観察する方が好きなようだ。

今日は路地を歩いているときに、ネコが吐いたと思われる未消化の生肉系吐しゃ物が落ちていた。

食べられそうに見えたのだが、はっちゃんは軽く匂いを嗅いでスルーした。

どういう判断基準なのか聞きたいところだ。

 

「今日は涼しい路地で休憩だよ」

 

さて今日もリクエストにお応えして、不妊去勢手術について取り上げたい。

PONOPONOでは、不妊去勢手術を行うかもしくは行う予定であることをカウンセリングの条件にしている(病気などの特殊事情は除く)。

その理由は2つある。

1.発情により犬に多大なストレスがかかり、しばしば犬の福祉が大きく低下するため。

2.依然として過剰な犬人口を抱えており多くの犬が行き場を失っている状況で(2019年度犬引き取り数:32555頭、殺処分数5635頭-環境省資料)、不用意に犬を増やすリスクを減らすため。

 

また、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、前立腺肥大、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫のような、発生率が高く手術が必要になる病気が防げるというメリットもある。

これらはわたしが動物病院犬の散歩ボランティアに毎日通っていた時にも頻繁に目にした。

患者さんたちの痛みと苦痛の大きさには心が痛んだ。

他方で最近では特定の大型犬でガンリスクの上昇が懸念されている。

そこで最新の情報を検索して論文を読んでみたので、ざっくりまとめて紹介したい。

不妊手術のメリット

1.妊娠を防いで個体数をコントロールできる。

2.発情による出血や発情に伴うストレス行動、偽妊娠などをなくす。

3.卵巣がんや子宮がんリスクがゼロになる。

4.乳腺癌のリスクを劇的に減少させる(未手術犬の4頭に1頭が乳腺がんになり、その半数が悪性で生存期間は1年以内)。

5.不妊手術を受けた犬の方が寿命が長いという研究結果が複数ある。

6.脱走したり徘徊したりしにくくなることで、交通事故や迷子リスクが減る。

 

去勢手術のメリット

1.精巣がんのリスクがゼロになる。

2.前立腺疾患のリスクを減らす。

3.会陰ヘルニアや肛門周囲の腫瘍のリスクを減らす。

4.去勢された犬の方が寿命が長いという研究結果が複数ある。

5.脱走したり徘徊したりしにくくなることで、交通事故や迷子リスクが減る。

6.室内での尿マーキングが減る。

7.マウンティングやメス犬へのしつこい追い回し、オス犬との喧嘩が減る。

 

不妊去勢手術のデメリット

1.体重が増加する(ただし食事量の調整で簡単にコントロール可能)。

2.麻酔リスクある(人間の麻酔リスクと同程度。病気になってからの緊急手術では麻酔リスクが上がる)。

3.とくにメス犬や大型犬種で尿失禁リスクが上昇(薬でコントロール可能)。

4.大型犬種では手術時期により筋骨格系疾患のリスクが生じる(遅らせることで低減)。

5.大型犬種では手術時期によりガンリスクが上昇する(遅らせることで低減)。

カリフォルニア州デービス校の研究(2020年)により、不妊去勢手術の時期によって筋骨格系疾患やガン、尿失禁のリスクが変わることがわかってきた。

ここに犬種ごとに詳しくまとめてあるので、興味がある方はご覧いただきたい。

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2020.00388/full

この研究を受けて全米動物病院協会は、不妊去勢手術のタイミングに関するガイドラインを発表したので、以下に紹介する。

不妊去勢手術の時期

小型犬(体重10kg未満)

メス:最初の発情前(だいたい5~6ヶ月頃)
オス:生後6ヶ月

中型犬(体重11~20kg)

メス:最初の発情前(だいたい5~6ヶ月頃)
オス:生後6ヶ月

大型犬(体重20kg以上)

オス:生後9ヶ月~15ヶ月(成長停止後)
メス:生後5ヶ月〜15か月(成長停止後)

最初の発情は、犬のサイズによって異なるので注意が必要だ。

小型犬の場合、生後4ヶ月程度で発情することがあるが、超大型犬では生後18〜24か月になるまで発情しない場合もある。

なので、純血種の場合は平均的な最初の発情時期を調べておくといい。

もし手術前に発情期を迎えてしまった場合、行動上の問題に直面するケースがよくある。

発情期の犬と暮らす際の困難

1.発情期のメスの匂いは5キロ先まで届くと言われているので、オスに寄ってこられないように守る必要がある。

2.オスはメスの匂いで脱走しないように厳重に防ぐ必要がある。

3.発情期のメスをめぐる未去勢オス同士のトラブルに注意する必要がある。

4.メスは発情期にストレスから攻撃的になりやすく、噛みつきがある犬の場合は悪化する。

5.偽妊娠で守る行動が強く出ることがある。

これらの問題は思っている以上にやっかいで、困り果てた方からの質問をいただくことがけっこう多い。

いっしょに暮らし続けるのが困難というレベルになることもよくある。

その結果、犬を閉じ込めるなどして行動の自由を奪い、犬のQOLを大幅に低下させて犬を苦しめるという悲劇も起こる。

また、性成熟後未手術の状態で災害が起こったり、何らかのアクシデントで脱走したりなどしたら、行き場のない犬を増やしてしまうことになりかねない。

なので、性成熟前に不妊去勢手術を行うというのは、非常に大事なことであるとわたしは考えている。

なお、わたしはうちで保護した犬猫たちには、アメリカのレスキュー団体で広く行われている早期不妊去勢方式を採用していた。

この方式が2020年の研究によって影響を受けるのかどうか、今後の展開を見守りたい。

 

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