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「感覚を持った生き物」という法規定が大事なわけ

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快晴で風は少しあったが暖かい散歩日和になった。

はっちゃんはご機嫌で道草散歩を楽しむ。

 

 

歩いているうちにさらに暖かくなったので、日陰で休むはっちゃん。

 

 

このあとたっぷりゴロンゴロンして帰宅した。

今日も楽しかったね。

さて、先日から日本の動物愛護法の問題点を指摘してきた。

なぜ現行の動物愛護法では犬猫たちを守れないのかという話だ。

引き続きいろいろ考えていたところ、スペインの下院議会が人間以外の動物は「感覚を持った生き物」(sentient beings)であると宣言したというニュースが入ってきたので、それに絡めて書いてみたい。

12月3日、スペインのEl Pais紙はこのように報道している。

スペインの下院議会が木曜日に可決した新しい法律により、スペインの動物は法律によって「物」としてはみなされなくなります。

今後、動物は「感覚を持った生き物」(sentient beings)として扱われ、無生物とは異なる法的地位を得ることになります。

今後は、動物の福祉や保護が考慮されることなく、押収されたり、放棄されたり、虐待されたり、離婚や別居の際に飼い主の一人と引き離されたりすることはなくなります。

 

「物」としてではなくというのは、人間の所有物や財産ではなくという意味であり、感覚を持った存在というのは、感覚とともに、知覚、理性、思考の能力を持っているということを意味する。

法律でこのように規定している国は以下の通りだ。

オーストリア、オーストラリア、ベルギー、ブルガリア、チリ、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、ニュージーランド、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、スイス、イギリス、カナダ、ブリュッセル。

スペインもこれらの国に加わったということで、この決議は多くの人々から歓迎を持って迎えられた。

ここでもう少し、「感覚を持った生き物」(sentient beings)について解説しておきたい。

動物の感覚 animal sentienceとは、動物が痛み、恐怖、退屈、フラストレーション、苦しみ、満足感、喜びなどの感情を経験する能力のことである。

動物は感覚を持つことによって、自分の周りで起きている変化に気づき(知覚)、その情報を処理して評価して(認知)自分の欲求充足に役立てることができるようになる。

これらの能力をひっくるめて「感覚を持った生き物」と言われているということを押さえておきたい。

他方で植物は生きてはいるが、感覚を持った生き物ではない。

植物には中枢神経系がないので、感覚を持つことができないのである。

中枢神経系は脳と脊髄で構成されており、中枢神経系は、思考、運動、感覚、思考、会話、記憶などを制御する役割を担っている。

植物はこれらをもっていないので、痛みを感じたり、考えたり、意思を持ったりなどできないのである。

ではどのような動物が感覚を持っているのだろうか。

その範囲はウシやブタ、ニワトリ、魚といった脊椎動物を超え、無脊椎動物に拡大している。

つい最近ではイギリスが、タコ、カニ、ロブスターをそのリストに加え、法的保護の対象にした。

昆虫については議論があるが、そのうちに加わるかもしれない。

「感覚を持った生き物」という法規定は、動物の感覚に配慮した取り扱いを具体的に定める法律に道を開く重要なものなのだ。

逆に言えばここに留まっていては動物の地位は改善しないので、どんどん法律を作っていく必要がある。

ここでようやく日本に目を転じてみよう。

動物愛護法では次のように規定されている。

動物命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ…(以下略)」。

「命ある」と言っているので無生物ではないが、「感覚を持った生き物」とは書かれていない(植物も命はあるので植物と同じ?)。

苦痛を感じたり、知覚、理性、思考能力などを持っている存在としては位置づけられていないのである。

しかも、動物愛護法は「人が占有している」動物(=物)のみを対象としており、野生動物は含まれていない。

スペインでは動物は所有物や財産(=物)ではないと認められたところだが、これではスタートラインにも立っていない。

嘆いていても仕方ないので、わたしたちは犬猫はもちろんのこと、家畜や実験動物、野生動物など多くの動物が「感覚を持った生き物」であることをしっかり認識したい。

感覚を持った生き物に苦しみを与えるようなことは、この社会から一掃すべきであるという考えを持ち続けたいし、その実現に向けて知力を結集したいと強く思っている。

 

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